2014年12月30日火曜日

作品展から


作品展に南天の作品を「今を生きる」と題して展示しました。





この作品を展示するには躊躇がありました。
メッセージが強烈で直接的すぎるからです。
毎年正月飾りに南天を飾ります。松の生き生きとした緑と赤い実は正月を感じさせますが、
小正月が過ぎてもその実の赤さは残っております。捨てるのがもったいない気がして
花瓶から抜いて書斎の出窓の上に置いておきました。色はだんだん褪せてくるものの
1年経っても2年経ってもその実は枝にしっかりついていて落ちないのです。
私はふとそのことに気がつき、圧倒されました。決してしがみついて生きているのではなく、
ただ淡々と枝についているだけですが、枝にしっかりついていて動かしても落ちないのです。
私は、そのひたむきな生き方に感動を覚えました。
そしてこの句ができあがりました。

私の母は早くこの世を去りました。
「いいこでね」
これが最後の言葉でした。
きっと残された家族のことを想うと無念だったように思いますが、最後は達観したように
静かに言葉をかけてくれました。
今でもその時のことは鮮明に覚えています。決して忘れることはありませんでした。
この句には母が残した言葉が生きています。きっとそう言いたかったような気がしています。
想いを残してこの世を去らざるをえないひとの最後の言葉が聞こえてきます。
それがこの句に込めた思いです。
そして私たちが消えゆくとわかっていても生きてほしいと願う心
それもこの句に込めた思いです。
「今を生きる」大切さを感じています。

この句は、御主人や御両親を失った方にとって直接心に響いたようです。その方たちが、
再び「今を生きる」力を得たとしたら、それが私の一番の望みです。
南天はずっと生きています。
そして皆様とのご縁を感謝しております。

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