2018年2月25日日曜日

心の闇


パソコンで描けない色があります。
黒色です。

そんなはずはないと反論される方も多いと思います。
光の三原色は赤と緑と青の配分で決まりますから
黒色は赤と緑と青の値が全てゼロで設定できます。

しかしながら印刷したものはパソコンの黒とは違うのです。
この世の中に、そもそも黒色は存在しないのです。

影は黒ではありません。
人間の目に映るもので真っ黒は存在しません。 

存在するとしたら、それはあなたが目をつぶった時です。
目をつぶり、心に蓋をして見ようとしないときにのみ闇は存在します。

目を凝らしてごらんなさい

そこにはきっと何かが見えるはずです。

 

2018年2月24日土曜日

見失ったもの


今年の元日はいつものように三毳山(みかもやま)に登り
初日の出を拝んで参りました。

しかしながら心穏やかに朝日を迎えるまでに、およそ新年
には似つかわしくない重苦しいあきらめの気持ちが支配し、
今年一年の不幸を予感させるできごとが起こりました。

御来光を迎える展望台は富士山や関東平野を一望できる
山の小高い場所にあります。
そろそろ地平線が赤く染まり始め、初日の出の場所が確認
できそうになるとカメラを準備します。
展望台は高さ1mぐらいの石の塀で囲われていますので、
その上にカメラを載せて写り具合を確認していた時に、手が
滑って何とカメラを下に落としてしまったのです。
そこは高さ5mぐらいの山の斜面で下には岩や落ち葉が深く
堆積した場所でした。

慌てて下に降りて木を掴みながら斜面を探しましたが、いくら
探してもありません。
半ばあきらめて、上に戻りもう一度上から目を凝らして探し
ましたがありません。

それでも諦めきれず、もう一度下に降りて探しました。
見つからず、また戻りました。


念のためまた下に降りて落ち葉をかき分けてみましたら、
やっと落ち葉に埋もれたカメラの姿を見つけることができました。
そのときは宝物でも見つけた少年のようでした。

安心して上に戻って確認したところ、今度はバッテリーがない
ことに気づきました。何ということでしょう。これでは写真が
撮れません。がっかりです。
きっと衝撃で外れたのでしょう。

さすがに買うしかないかと諦めようとしましたが、ここまで探し
たのだからと気を取り直して下に降りていきました。


今度も見つからず一度上に戻りましたが、諦めきれず
再び下に降りて、足で落ち葉を踏み固い感触がないか
調べてみることにしました。
木に掴まりながらあちこち探し回りました。

どれぐらいの時間を探したでしょう・・
幸運なことにやっと落ち葉に埋もれたバッテリーを探し当てる
ことができました。たかだか5分か10分ぐらいの時間でしたが
私にはとても長い時間だったような気がします。

上に戻り確認したところ今度はバッテリーの蓋がないことに
気づきました。もういいと思いながらも諦めと希望と意地に
揺れながら、再び下へ降りていきました。

本体が落ちてバウンドしたことを想定し落ちていそうな場所を
あちこち落ち葉をかけ分けたところ、光るものを発見し無事に
蓋を回収しました。

今回は幸運にもカメラ本体がそのまま落下したため、レンズを
痛めることなく今も問題なく撮影できています。


今、冬のオリンピックが開催中です。
日本人の活躍とメダリストのインタビューが連日報道されて
いますが、多くの心打つ言葉に感動します。

4年前のオリンピックに出場できなかった悔しさやメダルを
逃した悔しさをばねに、ひたすらオリンピックを目指し真摯に
自分と向き合ってきた姿は多くの日本人を感動させました。


一度、見失ったものは大きい
でも決して諦めず、自分を信じて希望と意地でただひたすら
見失ったものを探し求めれば、必ず手に入れることができる。
それには冷静な判断と努力が必要なことも教えてくれます。


私がカメラを見失ったことは些細なことかも知れませんが
オリンピック選手の活躍と重ねたときに、とんでもなく深い
ことを教えてくれたような気がします。

2018年2月9日金曜日

ステージの夢


イベントが続いていた頃は、よくステージに立つ夢を見ました。
正確に言うとステージに立つ前の夢ですね。

演劇の主役であったり指揮者であったり役割はいろいろです。
リハーサルで舞台に立つのですがうまく台詞が言えなかったり
思うようにできなかったり何かしら焦っている夢です。


邦楽八景舎のリハーサルで初めてホールの舞台から客席を見た
ときの印象が強烈に残っています。きっと演奏者はこの景色を
見ているのかと思うと何か自分が主役になったようでうれしくなります。

本番では最前列の席で客席に背を向けて座り、映写していましたので
会場の様子はわからないのですが、演奏の途中から客席が静まり返り、
皆さん聴き入っている雰囲気が押し寄せてきました。
緊張感から安堵の気持ちに変化した瞬間でしたが、同時にこの会場が
恐ろしくも思えました。

客席の雰囲気が恐ろしいまでに伝わることに驚きます。
演奏が終了し熱狂的な拍手で迎えられた時の喜びは演奏者にとって
この上ない喜びかもしれませんが、もしその逆だとしたら絶望の淵に
立たされて、逃げるように舞台袖に戻るかと思うと恐ろしくもあり
小さな舞台であっても聴衆の前で演ずることの意味を重く受け止め
身が引き締まります。