2015年12月29日火曜日

私の中の薬師如来


私は学生時代から奈良の薬師寺が大好きでした。
薬師三尊の姿が忘れられず、優しい姿のイメージが
長く心の中にしまいこまれていました。

ところが、最近薬師寺の三尊を拝観させていただいたときに、
何か自分の思い描いていた仏様とは微妙に違うなと
恐れ多いことですが、違和感を覚えてしまったのです。

実際に薬師三尊を描こうと思い立って、写真を何枚も
眺めているうちに、その思いは強くなるばかりで消えることは
ありませんでした。
あれほど柔和な体の線を持ちながら、御顔は非常に厳しく
妥協を許さない力を持っているのです。
やはり仏教の厳しい一面を表しているのです。

しかしながら、自分の中では、薬師寺の三尊は柔らかな
優しい存在として浄化されていました。
私は、私の中の三尊を描くことに迷いはありませんでした。
薬師三尊を模写するのではなく、自分の中に存在する
三尊のお姿にできるだけ近づけるように没頭しました。
病で傷ついた方が、少しでも安らかな気持ちになり、
自分の治癒力を信じ1日でも早く回復されますよう
祈りを込めて。

そうしてできたのが、この作品です。



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